一級建築士が教える 失敗・後悔しない注文住宅を建てるならここをチェック!

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一級建築士が教える 失敗・後悔しない注文住宅を建てるならここをチェック!

自分の好みを詰め込んだ注文住宅での夢のマイホーム。しかし、建て終わってから「失敗した」「こうすればよかった」と後悔することも多いようです。今回は、注文住宅でマイホームを建てるときのチェックポイントをよく聞かれる失敗例から考えていきましょう。

 

■目次

 

 

注文住宅でよくある失敗とは

注文住宅で失敗した。こう聞くとドキッとしてしまいますよね。これから注文住宅で家を建てようと考えている人は、ぜひとも失敗の理由が気になるところです。どんな点で失敗をしてしまったのか、一般的な失敗例からそのポイントをチェックして今後の計画に役立ててみましょう。

 

間取りの設計

注文住宅は、建てる人のこだわりをその間取りに反映させられます。

しかし、間取りを決めるためには、動線や生活音なども考える必要があります。建売などで見られるよくある間取りは、そうしたことも踏まえて、使うことを考慮して作られています。

欲しい部屋の広さや配置だけを優先して決めていった結果、実際に建てて住んでみたら使い勝手が悪かった、という後悔の声をよく耳にします。

 

収納スペースはあるのに入らない

一般的に、一戸建ての収納スペースは13%~15%が標準と言われています。

しかし実際のところ収納は、間取りの比率ではなく今あるものが入るかどうか、誰もが使いやすい場所に設置されているか、が非常に重要です。収納スペースをたっぷりとったのに、入れたいものが入らない、出し入れが面倒だ、という失敗が起こりがちです。

 

吹き抜け、照明、壁紙や内装、決めなければならないことがたくさん!

内装はどんな雰囲気がよいのか、照明はどんなものをどこにいくつ設置するのかなど、注文住宅は、決めなくてはならないことが多いもの。収納や設備、建具に採光、床や壁の素材、外構も含め、それぞれをばらばらに考えていくと、まとまりがなく、思ったような仕上がりにならないことがあります

昨今はインターネットなどでいろいろな情報が調べられるようになりましたが、調べているうちに力尽きて、適当に決めてしまって後で後悔する、ということもあるようです。

 

 

部屋別失敗事例と失敗のポイント

注文住宅を建てた人たちが、実際に住んで初めてわかった、注文住宅の部屋別失敗例を見ていきましょう。知っておけば、同じ失敗を繰り返さずに済みます。

 

家族が集まるリビング。明るい雰囲気なのに…寒い

注文住宅を建てる時、家の顔でもあるリビングにこだわる人は多いものです。昨今のおしゃれな注文住宅でよく見る開放的な吹き抜けのあるリビングは憧れですが、ただ開放的な作りにするだけでは、だめなようです。

失敗ポイント
  • ・リビング内階段や吹き抜け仕様にした場合、暖かい空気が上昇するため、ソファ付近が冷えてしまう。
  • ・掃き出しの窓からウッドデッキに出られるようにしたが、窓の近くが寒い。

天井にファンをつける、床暖房を設置するなど、空調の効率、メンテナンス面も含めて設計する必要があります。専門家である建築士に相談しながら進めましょう。

 

おしゃれなのに動きづらいキッチンで失敗

キッチンの失敗は、動線の見落としに多いようです。家族同士が行き交うときにぶつかってしまい、イライラの原因になってしまうことも少なくありません。

失敗ポイント
  • ・家族各人が冷蔵庫から食べ物を出し入れしやすく、食べ終わったあとの片づけがしやすい動線になっていないため、ひとりが動き回るはめに。
  • ・冷蔵庫の扉の開閉方向、運搬経路の確保を忘れていた。
  • ・キッチン作業と同時に、洗濯エリアや掃除など他の家事も同時進行することを考えていなかった。
  • ・飲み物や野菜の保管、生ごみを一時置きできるスペースがない。

キッチンは冷蔵庫やゴミ箱などの位置、食事を作るところから後片付けまでの動線を考えた設計を意識しましょう。

 

外の騒音だけでなく、気になることが多い寝室

寝室は静かに落ち着いた空間が望ましいですよね。外の音が室内に響かないという点も大事ですが、意外と気になるのが家族の生活音です。

失敗ポイント
  • ・子どもの成長につれ生活リズムが変化し、夜遅くのキッチンやバスルームの使用音が気になって安眠できない。
  • ・寝室を2階にしてしまったが、高齢になると階段を上がることが億劫になり危険も伴うため、1階に配置しておけばよかった。

特に夜は静かになるため、生活音が日中よりも耳に残ります。家を建てる時の希望だけでなく、将来的なことまで考えた上で間取りや設備などを考えた方が賢明です。

 

必要ないと思った和室…本当になくてもいい?

時代の流れとともに、現在は和室のない家も多いようですが、リビングの隣に小さくても和室を作っておけばよかった。そう後悔する人も一定数います。

失敗ポイント
  • ・全てフローリングの部屋にしてしまい、床が硬くて冷たいので、来客が宿泊する時にはマットやベッドが必要となってしまい、(宿泊を)お断りするしかない。
  • ・赤ちゃんや小さい子供を連れた来客があったときに、お昼寝をさせたり、遊ばせたりするスペースがない。

畳のイ草の香りはどこか心を落ち着かせてくれるものです。和室が要るか要らないか、ゆっくり考える時間を設けてもいいかもしれません。

 

今はぴったりだけど…成長を考えないと失敗する子ども部屋

子どもの成長は早いものです。数年経てば、だんだんと本人の好みも出てくるため、かわいい年頃のイメージだけで作ると失敗します。

失敗ポイント
  • ・勉強はリビングで行うことが多くなり、子ども部屋より他の間取りとバランスを調整すべきだった。
  • ・成長や進学につれ子どもの荷物が確実に増えていき、思ったよりも収納スペースが必要だった。

子ども部屋はフレキシブルな仕様にしておくと、子どもが独立した後、書斎や納戸として有効活用することができます。

 

大きな窓が開放的!と思ったら寒すぎた浴室

失敗例としてよくあるのは、ホテルのような大きな窓が開放的な印象のバスルームです。外が見渡せて気分爽快ではありますが、日常的に使う浴室としては思わぬ失敗が出てきます。

失敗ポイント
  • ・窓が大き過ぎて寒い。
  • ・広いバスルームにしてしまったため脱衣所がひろ過ぎて寒く、高齢になって入浴が億劫になってしまった。
  • ・湯船のお湯が冷めやすく、何度も追い炊きしなくてはならない。

浴室はいつでも清潔に使いたい空間です。だからこそ、手入れがしやすいよう空調や間取りにも配慮が必要です。

 

ウッドデッキやベランダの失敗例

建物のアクセントとなり、リビングの掃き出し窓から続きで外に出られる第二のリビングとしても有効なウッドデッキも、意外な落とし穴があるようです。

失敗ポイント
  • ・日当たりのよいところに配置したら道路から丸見え。
  • ・風雨にさらされ3~4年でボロボロになってしまった。
  • ・ベランダが狭く、洗濯ものや布団が干せない。

失敗を防ぐためにも建物の配置の段階から、ウッドデッキやベランダの要望を建築士さんに伝えておき、アドバイスをもらうようにしましょう。

 

後回しになりがちな外構

敷地ブロックやフェンス・駐車スペースなど、外構に関しては、建築が始まってから考える人も多いでしょう。外にさらされる部分なので、住んでしばらくしてから失敗した、と感じることが多いポイントです。

失敗ポイント
  • ・塀の材料に予算が回せず、妥協をしたために近隣や建物の外観とのバランスが悪い。
  • ・植栽の手入れがしにくい。
  • ・駐車場から道路に出る角度や、ポストや宅配ボックスの設置、屋外コンセントの設置を失敗。

後回しにしたことで予算や建物とのバランスなどがとれていなかったり、使い勝手が悪かったりということのないよう、建物と合わせて、建築前に計画をきちんとたてておきましょう。

 

 

失敗しない注文住宅のためのチェックシート

注文住宅を建てる場合、せっかくなら、とできるだけたくさんのこだわりを詰め込みたくなってしまうもの。

しかし、ご自身が建築士でもない限り、すべての要望を盛り込んだ、暮らしやすい家を建てるのは難しいものです。後になって失敗した!とならないように、押さえておきたいポイントをまとめました。

これらの項目を前もって考えておき、建築士に共有することで、先人の多くの失敗を防げます。

 

こだわり … ここだけは、というこだわりを明確にする

まずは、こだわりたい点を明確にしておきましょう。

ここだけは譲れない、という項目に優先順位をつけましょう。建築士さんにこだわり条件を整理して伝えることによって、希望に近い設計を提案してもらうためです。

こだわりすぎるのも失敗のもとですが、「プロが言うことだから」とあいまいにして言われるままに進めるのも、後から言い出しにくくなり、後悔することになります。

 

動線 … 家族全員の動線は考えている?生活動線の分析

動線を無視した間取りにすると、無駄な動きが増え、イライラする原因になります。

キッチンなどで、家族同士がすれ違ったりぶつかったりすることが多い、朝は洗面所・玄関などに動線が集中するなど、家族全員の時間帯別の動線がどうなっているか、各自の生活を分析しておきましょう。

 

窓 … 採光、通風、開放感 失敗しないバランスは?

開放感を考えれば大きく採光を優先した間取りにしたい窓ですが、外から見え過ぎたり、掃除が大変だったりします。さらには窓を大きく取り過ぎて壁が少なくなってしまい、家具が置けなくなってしまう事例もあります。採光目的であれば、はめ殺しで十分な場合もあるので、家具等の配置も含め、窓の大きさや設置場所をチェックしましょう。

 

収納 … そこに入れたいものは入る?

データによると、「ウォークインクローゼット」「カウンターキッチン」「シューズクローク」など収納系の設備に人気があるようです。しかし、大きさよりも、そこに入れたいものが入るかどうかがポイントです。季節によって使わない衣類や布団などが収納できる設計となっているか、収納場所が生活動線から外れていないかなど、収納内部の高さ・幅・奥行きは、収納したいモノとあっているか、よく確認しましょう。

 

水回り … 見落としがちな水音

キッチン・トイレ・浴室や洗面所など水回り関連の設備は、生活動線を考えつつも、なるべく近くに配置した方が良さそうです。トイレや浴室はリビングから見えないところにする、夜中の使用音が気になるようなら寝室はキッチンやトイレ、浴室から少し離した間取りにするのも一案です。

 

スイッチ、コンセント … 電気系統の配置をチェック

費用を抑えるために、コンセントやスイッチの数を減らしたことが失敗!ということも多いようです。テレビや電話のジャック、調理家電やパソコン関係のコンセントなど、生活に必要な電気系統の整備がきちんとできているか、家具やドアの裏側の手が届きにくい場所にスイッチが設置されていないかなど、生活動線を考えて配置を考えましょう。

 

未来 … 家族の将来は想像できている?

家族の成長につれてライフスタイルは変わっていきます。家を建てる時には、そうした将来像も見込んで間取りや配置を考えましょう。子供達が部活で服を汚して帰ってきた時のこと、シッターさんやヘルパーさんが出入りするようになった時のことなど、色々なシーンを想定しておくことが大切です。

 

 

失敗は、建築だけじゃない。費用面での失敗を回避するには?

注文住宅の予算は、本体工事費、付帯工事費、諸費用に、土地購入費をプラスした金額となります。しっかりとした準備、建築士との共有が失敗回避のカギになります。

 

こだわりと予算は比例する

希望を全部盛り込んでいたら、当初の予算とはかけ離れてしまったという失敗例もあります。予算で妥協したくはないけれど、無理をすると、その後の生活に支障が出ます。

そうならないよう、こだわって作りたいポイントなどを明確にし、設計時に資金計画や住宅ローンについても助言を受けながらワンストップで注文できるのが理想です。そうすればコストを抑え、その分内装や建具に資金を回すことができるかもしれません。

 

住宅ローン開始前に発生する費用がある

建売やマンション購入と違って、注文住宅では、住宅ローンの融資が受けられる前に支払わなくてはならない費用が多く発生します。そのため、自己資金が少ない場合「つなぎ融資」という方法をとることがあります。「つなぎ融資」は住宅が完成して住宅ローンが実行されるまでは利息のみを支払い、元金は、完成した住宅の引き渡しのタイミングで住宅ローンから支払います。借り入れ予定の金融機関で調べておきましょう。

 

ローンの返済計画は余裕をもって立てる

住宅ローンの支払いが滞ってしまうと、せっかくのマイホームを手放すという悲劇になりかねません。 進学や転職、何かあった時の医療費など、家族の成長とともに家計は変化します。失敗しないためにも、注文住宅の資金計画は、余裕をもって、借り入れ予定の金融機関とよく相談して立てましょう。

 

 

失敗しない注文住宅は、要望の整理と建築士選び

理想の注文住宅を建てるためには、家族みんなの要望を整理して、建築士にきちんと伝え、力を合わせて進めたいものです。

でも、あいまいな要望のままでは、どんな建築士でも理想の家は建てられません。

また建てる側の要望をあまり聞いてくれない建築士でも不満が残ります。

まずは要望と優先順位を明確にすること、そして相談に親身にアドバイスしてくれる建築士を選ぶことが、何より注文住宅建築の失敗しないポイントです。

 

理想の新居に求めることを挙げてみる

家族それぞれが思いつくまま、欲しい部屋や希望するテイスト、意見などを出し合ってみましょう。

意見を出し合うことで、要望を共有でき、家族の誰かにお任せでない、みんなが満足のいく家になります。

 

  • ・全体のテイスト … 和モダン、北欧調など。イメージのずれが出ないよう、好きなテイストの空間の写真を、雑誌の切り抜きやインターネットの画像検索結果などを共有するのがおすすめ。

  • ・暮らし方のイメージ … 趣味を楽しみたい、人が集まりやすい、リラックスしたい、プライバシーの確保など

  • ・家の特徴や性能 … 耐震、耐久、断熱、省エネ、オール電化など、

  • ・必要な間取り … リビング、キッチン、子供部屋、書斎、バスルーム、トイレ、サンルーム、和室など

  • ・各部屋に取り入れたい設備 … 吹き抜け、シーリングファン、リビング階段、壁面収納など、

  • ・置きたい家具や家電 … ソファやテレビ、ダイニングセット、ベッド、本棚など

  • ・その他 … ウッドデッキ、ガレージ、屋根裏収納、中庭など、欲しい空間

 

要望に優先順位をつけてみる

先ほど挙げた要望を先のチェックシートを元に確認しながら、優先順位をつけていきましょう。

 

例えば、設備の項目なら

1.吹き抜け
2.大きな窓
3.壁面収納

というように優先度の高い順に並べ直してみます。

他の項目も同様に、「この点は譲れない」という順番をつけながら見直していくことで、家族の中でばらばらだった意見が統一されるはずです。

 

建築士と情報を共有。理想の家づくりへ

項目ごとに整理したものを、最初の相談で建築士に伝えましょう。

スタート地点で情報の共有をしておくことで、依頼者と建築士のめざす方向性が揃いやすくなります。

依頼者と共同作業で提案と設計を進めることを大切にしているビルド・ワークスでは、依頼者のアイデアやこだわりをヒアリングし、そこに建築士の経験を掛け合わせることで相互の価値観を共有しながらベストな家づくりを実現するようにしています。

参照:ビルド・ワークス「家づくりのながれ」

 

ビルド・ワークスが標準採用しているSE構法は、未来に向けても耐用年数も長く柔軟に対応できます。柱や壁を最小限度にできるため、自由な間取りを実現できるだけでなく、リフォームでの間取り変更もしやすく、のちのちのライフステージの変化に合わせたアレンジも可能です。

 

人生に一度の家づくり。こだわりや要望を的確なタイミングで伝えることでプロの力を活用し、建築士とともに、将来にわたって満足できる注文住宅を建てましょう。

 

(記事内容 監修:一級建築士 河嶋 一志