京都で家を建てるConcept02

京都で家を建てる

京都で注文住宅を建てる。それは、自治体が求める景観上の様々な規制をクリアし、京都の風土に根ざした快適な家を建てるということです。思いのままの外観で家を建てることは許されない街、それが京都です。そんな京都において理想の家を建てるために、わたしたちビルド・ワークスはお客様の意見を汲み取り、一邸一邸にふさわしいデザインと目に見えにくい工夫を練り上げて家づくりを行っています。

京都の景観を維持するための様々な地域規制

京都は1200年あまりの歴史を有し、様々な歴史的建造物や伝統を保っている美しい街です。こうした京都の豊かな景観を保ち後世に残していくために、自治体では京都のほぼ全域にわたってそれぞれに都市計画法や景観法に基づく地域規制を設けています。

京都の規制地区は大きく
・美観地区
・美観形成地区
・建造物修景地区
・風致地区
の4つに分類され、その他にも歴史的建造物などと同居する地区に対して細かな規制を設けています。規制の対象は建物の形状、屋根の形や素材・色彩、壁材や門塀の素材・色彩などで多岐にわたる指定が存在しています。家づくりにおいて土地から探す際には、こうした規制地区指定についてもあらかじめ知っておくことも重要だと思います。

規制地区ごとに見る家の特徴

ここでは京都の規制地区について、ビルド・ワークスの施工事例を見ながら簡単にご説明します。

美観地区

明治後期に市街地が形成された地域で、京町家や近代洋風建築が残り歴史的風情をたたえる地域などを6種類に分けてそれぞれに規制が設けられています。

美観地区に建つこちらの邸宅は瓦屋根と軒庇が印象的な端正な外観を持ち、町並みや景観に配慮。一方、屋内には約39帖のLDKを柱一本立てることなく実現し、また上部吹き抜けにも梁や火打ちといった構造材が全く出てこない大空間を実現しています。

美観地区では以下のような規制が適用されます。
・屋根の形状と勾配(角度)、軒の長さを規定。
・原則として屋上を設けない。
・屋根の素材は日本瓦・金属板(地区により銅板葺き)またはこれらと同等の風情を有するものとし、色彩について規定。
・道路や河川に面する3階の外壁面は1階の外壁面より後退させるか、外壁面を道路より十分後退させ、景観に配慮した門塀を設ける。
・道路に面する1,、2階の外壁に特定勾配を持つ軒庇を設ける。
・屋根以外の色彩は町並みと調和の取れたものとする。
・壁材の材質や色彩について規定。
・屋外から見えるエアコンの室外機や給湯器には格子等を設けて景観に配慮する。
・竣工後、完成検査が求められる。

美観形成地区

昭和初期に市街地が形成された地域や美観地区に接する幹線道路沿道,優れた眺望景観の視点場のある通りなどを2種類に分けてそれぞれに規制が設けられています。

ビルド・ワークスでは現在公開できる美観形成地区の施工事例がありませんので、美観地区より制限がやや少ない美観形成地区でも施工可能なこちらの邸宅を紹介します。道路から後退した邸宅は1階屋根を遮る壁面で分節され壁に映し出される木の影がアクセントになっています。
ダイニングキッチンの上を通るストリップ階段は蹴込板や手摺壁がないことで視線が通り、圧迫感のないスッキリとした空間を設計。リビングの上部は抜け感のある吹き抜けを採用。縦に大きな開口を設けることで隣地の建物に関係なく光を取りこんでいます。

美観形成地区では美観地区とほぼ同様の屋根や外壁の形状・素材・色彩に関する規制が適用され、さらに周辺への圧迫感の低減のため外壁面の道路からの十分な後退もしくは外壁面の適切な分割・分節が求められます。

建造物修景地区

三方の山々の内縁部や南部地域など、他の規制地区に含まれない市街地の区域を4種類に分けてそれぞれに規制が設けられています。

こちらの邸宅は大きなガレージシャッターとそれを取り巻く磁器質タイルの壁面、白壁でシャープに構成されています。美観地区や美観形成地区に比べ外観の制約が少ないのが特徴です。2階LDKは床や天井に木を、壁面にタイルを用いて落ち着いた雰囲気を構成。天気のよい日に屋外で過ごせるバルコニーを設けています。

建造物修景地区では美観形成地区と同様に周辺への圧迫感の低減のため外壁面の道路からの十分な後退もしくは外壁面の適p切な分割・分節が求められます。また、建造物修景地区では竣工後の確認検査がありません。

風致地区

都市計画法により定められた最も古い規制地区で、自然的な景観と一体化した町並みを中心に適用されています。京都府内では第1種から第5種まで5つの等級により指定され、第1種から順に厳しい規制が設けられています。

日本でも古くから用いられてきた土壁の工法「版築-はんちく-」を模したデザインを外観に取り入れ、周辺地域との調和を図りつつも、個性を表現したこちらの邸宅。西向きのため西日が入りにくいよう、2階は低く横長の窓を軒庇と組み合わせて開口し外観にアクセントを与えています。吹き抜けの階段を上がった2階はシアタールーム仕様になっています。

風致地区でも他の地区と同様に建築物等の形態(主に屋根、外壁、開口部及び建具の形状)及び意匠に関して、風致地区に共通する基準(共通デザイン基準)を設けています。また第1種地域から第5種地域別に、
・建物の高さ
・建ぺい率
・建物の後退距離(道路に面する箇所とそれ以外)
・敷地の緑化率
について異なる基準が適用されます。

京都の気候に対応する家づくり

主に外観に対する厳しい建築デザインに対する規制をクリアしなければならないのは当然として、その上で京都の家には、夏蒸し暑く冬の冷え込みが厳しいという季節の変化に対応した住み心地のよい家が求められます。

季節による寒暖差を抑える高断熱・高気密住宅

夏蒸し暑く冬寒い、こうした季節の寒暖差を最低限に抑えるために、ビルド・ワークスでは高断熱・高気密住宅を提案しています。高断熱性は外気温の変化に対して冷暖房で快適に保たれた室温を一定に保ち、高気密性は隙間風の侵入による外気の侵入をはばみます。魔法瓶の中の冷水やお湯が外気温に関わらず温度を保つように、高断熱・高気密住宅は室温を一定に保つ役割を果たします。ビルド・ワークスでは断熱性として寒冷地相当のUA値0.49以下、気密性としてC値0.3W/㎡・K以下を標準として提案しています。

南と北に窓を取った風通しのよい家。ただし快適さを感じられる季節は短い

住み心地のよい家を表すものの一つとして、室内に自然に空気が吹き抜ける風通しのよさをお考えの方も多いと思います。ビルド・ワークスでも、南北に窓を取り、風の通り道をつくるといった風通しに配慮した設計を行います。
しかし、京都においては風通しのよい家が快適な家になる季節は非常に限られるということも知っておいていただきたい事実です。冬は当然、冷たい外気にさらされるのでわかりやすいのですが、夏の風通しのよさは快適さにつながらないことを意識されていない方は多いように感じます。夏に窓を開けて風を通すと、家には湿度の高い空気が外から流れ込みます。じめじめとした空気は風を感じても室内にいる人にとっては不快感を与え、住み心地を損なわせます。
春や秋などの限られた期間に風通しのよい家の心地よさを味わい、多くの期間は窓を締めて冷暖房により快適な温度に保つ、といった工夫で四季を通じた心地よさを維持するのが現実的な京都での暮らしなのではないでしょうか。

夏の蒸し暑さの原因は湿度

先に述べたように、京都の夏のじめじめした空気は快適な家を保つ上で大敵です。夏場の温められた空気はより多くの湿気を含み、それが不快感につながります。高断熱・高気密住宅であっても機械換気により空気の入れ替えを行うため、そのままでは夏に湿度の高い空気が室内に取り込まれ快適さを損なう要因となります。夏の湿度対策として一般的に用いられるのは除湿機能を持ったエアコンの活用です。エアコンで室温を一定に保つだけでなく湿度を下げることでより快適な状態を作り出すわけですが、部屋の広さによってその効果は限られる場合があります。除湿機の活用も湿度対策に有効ですが、除湿機自体が熱を発するため室温を上げてしまい、光熱費がより多くかかるといったデメリットがあります。
こうした環境を踏まえてビルド・ワークスでよくご提案させていただくのは輻射冷暖房パネルの採用です。パネル内に冷水・温水を循環させ室温を一定に保つ輻射冷暖房パネルはエアコンのような機械音を発することなく室内の温度を快適に保ちます。また夏の湿気に対しては、パネルに接した空気内の湿気を結露させ、パネル下から結露した水を排水することから、除湿対策としても有効です。 いずれにせよ、京都の蒸し暑さを知った上で、それにどう対応するのかを考えることは、快適な家づくりにおいてとても重要なことです。

制約があるからこそ、家造りは楽しい

ここまで紹介したような規制や風土、与えられた土地の条件、予算、その他。家づくりには様々な制約があります。しかし、こうした制約があるからこそ、そこに様々な工夫を行うことで家づくりはより一層楽しいものになるのだとビルド・ワークスは考えています。あなたとともに、京都で家を建てる。家づくりがより楽しいものとなるように、わたしたちがお手伝いいたします。