初めての注文住宅 予算は?流れは?そのメリット/デメリット
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住宅購入は、人生の中で最も大きなお買い物。注文住宅を建てるなら、家族でたくさんの時間を過ごす大切な場所だからこそ、自分らしさ、家族らしさが詰まった空間にしたいですよね。ですが多くの方は住宅購入に関しては初心者です。
ここでは、注文住宅を検討中のみなさんが気になる、注文住宅のいろはをご紹介します。
■目次
- 注文住宅とは? その定義は?
- 注文住宅は建売より高い?
- 注文住宅のお金のこと。相場、平均坪単価はどのくらい?
- 注文住宅を建てる その流れは? 期間はどのくらい?
- 注文住宅で押さえておきたいポイントと“決めることリスト”
- 注文住宅のメリットと失敗・後悔したことは?
- 人生の多くの時間を過ごす場所、どこよりも満足の行く場所に
注文住宅とは? その定義は?
住宅を購入するというと、まずはマンションか一戸建てにするかを決める必要があります。
さらに戸建住宅には、建築会社と施主(自分)とが一緒に造り上げる「注文住宅」と、既に建築されている住宅、あるいは設計が決まっている住宅を購入する「建売住宅」の2種類があります。
注文住宅には、間取りや建材、デザインや家具など、一つ一つを施主が選び、自分好みの空間に造り上げていくことができるフルオーダー住宅と、基本的な仕様が決まった状態で、外壁や壁紙、住宅設備などを選ぶことができるセミオーダー住宅があります。
また、中古物件を購入しフルリノベーションを行う場合も、注文住宅となります。
つまり、家を購入する方の要望を生かした、世界に一つだけのマイホーム、それが注文住宅です。
注文住宅は建売より高い?
自分の好みに合わせて自由設計が可能な注文住宅は、建材・住宅設備などの購入が一点単位、一軒分単位となるため、建売住宅のそれと比べてややコストが高くなります。また、間取りやデザインなど、どこをこだわるかによっても値段が大きく変わってきます。
また、建築費だけでなく、土地の購入・各種登記費用・地盤改良費・上下水道工事費用、外構費などが別途必要となります。
一方、建売住宅では、複数軒まとめて建築することも多く、建材やキッチンなどの住宅設備など、まとめて仕入れ、いくつかの住宅に使用することで仕入れコストを抑えています。また、メーカーで購入・整備した土地を使用、あるいは分譲し、まとめて外構工事済みの物件が多い建売住宅では、土地購入諸費用や外構費用なども含まれての販売価格となります。
スケールメリットが生かせる建売住宅は、注文住宅に比べて総購入価格は安くなります。
しかし、建売住宅は一般的、平均的な間取り、作りになっていて、それぞれ違う家族構成、生活を営むため、長く住んでいるうちに内装・外観共にリフォームやリノベーションを希望される方も少なくありません。そういった追加のコストや日々の暮らしの満足度を考えると、注文住宅を選択する方が、将来的なコストパフォーマンスは良い場合もあります。
注文住宅のお金のこと。相場、平均坪単価はどのくらい?
注文住宅を検討する時、まず考えるのはお金のこと。どのくらいの予算が組めるのか、その予算ではどの程度の希望をかなえることができるのか。気になる注文住宅の予算相場や坪単価、コストを抑えるポイントなどをご紹介します。
注文住宅の予算相場、平均坪単価はどのくらい?
一般に、“住宅購入”にかけられる総費用は、年収の5~7年分、全国の注文住宅建築の平均予算相場は3,000万円台と言われています。平均的な広さ(30坪~40坪)と設備の住宅を建てられる価格相場です。ただしこの建築費用以外にも、「建物本体工事費」のほか、「土地購入やその諸経費」、「地盤調査費」、「家具や住宅設備」、「外構費」などが必要になります。
坪単価とは、建物の床面積の一坪当たりの建築費を表しますが、住宅メーカーで表示されている坪単価は、そこに含まれる内容がそれぞれ違います。単純な比較で判断できるものではありません。
また、一般的には「建物本体工事費」として算出していることが多いため、坪単価×延床面積=住宅総購入費ではないという事に注意する必要があります。
先に述べた年収ベースや手持ち資産で自分の予算額を決め、その予算内でどういった家が建てられるのかを考えていくほうが現実的です。
予算オーバーしがちなポイントは?
注文住宅建築で気を付けたいのが予算オーバー。何も希望を伝えず見積もりをとると、平均的な仕様での見積もりとなり、その後いろいろこだわってしまうと、最終的には見積額を大幅に越えてしまいます。こだわりたいポイントなどは事前にまとめておき、きちんと伝えましょう。
また、土地から購入をする場合、地盤調査の結果によって、地盤改良工事や基礎工事の価格も変動しますので、あらかじめ、検討中の土地周辺の地盤について調べておくと安心です。
値引きや値段を安く抑える方法は?
実現したい希望や要望を伝えて、それらすべてを叶えるプランが、予算オーバーになってしまうことはよくあります。その場合は、こだわりたいポイントに優先順位をつけ、順位の低い部分からコストを見直してみましょう。
また使用する設備のランクを変える、窓の大きさを小さくする、床面積を小さくする、部屋数を減らすなど、値段を抑える方法は、建築士の持つノウハウの中に色々あります。
予算内でできる限り理想の住まいに近づけていくためには、担当の建築士と細かく話し合いながら、進めていくことが何より大切です。
参照:「予算オーバーしない! 注文住宅を建てる時の予算の決め方」
注文住宅を建てる その流れは? 期間はどのくらい?
注文住宅を建てる時、こんな家にしたい、予算はこれくらい、といった希望はあるものの、実際に必要な手続きや流れは意外と知らないものです。ここでは、知っておきたい家づくりの流れについてご紹介します。
予算を決める
まず住宅購入の総予算を決めておきましょう。
注文住宅では、住宅建築費用の他にも、見積もりに入らない諸費用が存在します。
例えば、登記、保証料や火災保険、住宅ローン各種経費、地盤調査・改良工事、地鎮祭、引っ越し費用、照明やカーテン、家具、空調などの内装・設備、外構工事、場合によっては古家の解体などです。
こういった建築以外でかかる費用は、500万~800万、土地が広い場合は外構費用もかかり1000万以上になるケースもあるので、いざ、ローンを開始しようというタイミングで困らないよう、予算には余裕を持っておきたいですね。
参照:「予算オーバーしない! 注文住宅を建てる時の予算の決め方」
パートナー、住宅メーカー・工務店選び
家づくりで最も大切と言われているのがパートナー選び、住宅メーカー・工務店選びです。できるだけ多くの見学会やイベントに参加したり、ホームページやパンフレットに掲載されている施工例を見たりしてからパートナーを決めましょう。
建築の知識や自分のイメージに近い建築実績を持っていることはもちろんですが、何より信頼できる会社(担当者)であるかがとても重要。
予算やデザインのイメージが気に入ったからといってすぐに決めるのではなく、何度か通い、話を聞き、信頼関係を築いてから契約するのが、家づくり成功の近道ともいえます。
ビルド・ワークスでは、建てた家を見学会やイベントを開催。建築実績を直接確認いただくことはもちろん、担当者が直接ご説明させていただき、お客様のご質問やご相談にお答えし、納得いただいてからご依頼いただいています。
参照:ビルド・ワークス「いえづくりカフェ・各種イベント」
要望を伝える
パートナー候補を絞り込んだら、ファーストプランを立ててもらいましょう。
そのためにはできるだけ具体的な要望を伝えます。
絶対こだわりたいポイント、予算によっては削っても良いポイントなど、優先順位をつけて、できる限り具体的に伝えられるように準備しておきましょう。可能であれば要望は書面で共有し、どこまでが実現可能かの相談ができるとイメージがつかみやすくなります。
ファーストプランについてはビルド・ワークスでは無料で実施。他にも無料で実施してくれる施工業者もあるので具体的なプランを見て決められるとより安心していただけるかと思います。
提案や設計書を検討する 建築契約
ファーストプランの内容や、担当建築士とのやり取りを経て、マイホームを建築するパートナーを決定したら、契約手続きを行います。
その後、より詳細に建築プランを詰めていきます。
家づくりにおいて、一番頑張りたいタイミングはここです。
総費用は予算内に収まっているのか、間取りは希望の形になっているか、建材や設備はどうするか、デザインは理想通りか、設計書やシミュレーションを見ながら実際に暮らした時の生活導線や住環境をイメージしていきます。
なかなかイメージがつかないという方は、先に注文住宅を建てた方が失敗したと思ったことなどをチェックして、確認してみるのも良いかもしれません。
参照:「一級建築士が教える 失敗・後悔しない注文住宅を建てるならここをチェック!」
地鎮祭・着工・上棟式 建築開始
設計書を基に提案と修正を繰り返して、ようやく建築が始まります。
無事に地鎮祭を迎え工事着工し、上棟式、ここまでくると感動もひとしお。少しずつ見えてくる理想の我が家。建築過程をじっくり見ることもできるのが注文住宅の良さとも言えます。時間があれば、ぜひ定期的に現場を訪れてみてください。
建築期間は5~10ヶ月
建築期間は、住宅メーカーや工務店によってばらつきはあるものの、着工から引き渡しまでは、おおよそ5ヶ月から10ヶ月となります。パートナーを決め、契約をしてから着工までにも1.5ヶ月から4ヶ月程かかるので、早くても8ヶ月から1年半は見ておきましょう。
また、パートナー選びや土地探しに時間をかける方も多いため、実際には、家づくりを意識してから引き渡しまでは、さらに時間を要します。
注文住宅で押さえておきたいポイントと“決めることリスト”
注文住宅では、短期間で決めなければならないことがたくさんあります。仕事や多忙な生活を送りながらの家づくりは楽しくもあり、慌ただしいもの。家づくりを意識した今から、少しずつリスト化して、余裕を持って家づくりを楽しみましょう。
土地探し
注文住宅の場合、実家の敷地、あるいは、親の持っている土地に家を建てるといった方もいますが、多くの場合、土地探しからのスタートとなります。職場・病院・学校など、生活をイメージして一生暮らす土地を決めるのはなかなか大変です。立地が良くても予算と合わなかったり、地盤が緩かったりと、ここだ!と思う土地に出会うまでには時間がかかります。
住宅メーカーや工務店の見学会と並行して、不動産へも足を運んでおくと時間のロスがなく、スムーズに家づくりを進められます。住宅メーカーや工務店が、おすすめの土地を紹介してくれることもあるので、見学会に足を運んだ際は、土地情報もチェックしてみましょう。
間取り
注文住宅で最も頭を悩ませるのが、間取り決めです。何階建てにするか?子供部屋は必要か?二世帯住宅の共用スペースはどうするか?など、それぞれの環境や家族構成によって理想の間取りはさまざまです。
予算や面積、こだわりたい部分、将来設計など、優先順位を明確にして、パートナーである住宅メーカーや工務店のプロの意見をしっかりと取り入れ、失敗しない間取りを計画していきましょう。
参照「後悔・失敗したくない! 予算、こだわり別注文住宅 間取りの決め方」
外観、外構
注文住宅を建てるなら、家の第一印象となる外観や外構もこだわりたい。外観は、素材やカラー、デザインなどで大きく印象を変わります。 周囲の景観に馴染みつつ、センスの良さを感じさせるものにしたいですね。
予算などの関係で外構を後に回す方も多いですが、家の外観と外構の雰囲気を揃えるのであれば、外構は家本体と同時に進めるのがおすすめです。
内装
内装では、壁のクロスや床材、造り付け家具やキッチンやお風呂などの設備を決めていきます。洗面・トイレのクロスや床材には、消臭防水を重視する素材を選んだり、リビングなどの床材には、裸足の感覚を楽しめる自然な無垢材などを選んだりと、プロの意見を参考にして、納得のいく素材選びをしていきましょう。
採光、照明計画、電気系統
間取りや窓の大きさによって部屋の明るさを左右する採光。方角や時間帯ごとの採光をイメージして、窓の位置や大きさを決めていきます。
また、照明計画や電気系統の配置などは、あとから追加ができない為、とても重要です。生活動線を意識して、必要な所に必要な配置ができるようにしましょう。 例えば、照明スイッチの高さや配置、掃除機の電源、PC周辺機器の電源、テレビや周辺機器の電源など、細かくイメージをしておきます。暮らし始めてから必要なところに電源がないといった不便を感じずに、生活しやすい空間を造り上げることができます。
冷暖房、通風・換気の計画もしっかりと
夏は涼しく冬は暖かく、快適な生活には、通風や換気、気密性や断熱といった空調計画は欠かせません。エアコンや暖房器具の取り付けは後からでも可能ですが、家自体の性能は後からは変えられません。そのため、各住宅メーカーや工務店では、快適な住環境を実現させるためにさまざまなシステムを導入しています。
自然の風を取り入れる通風の工夫・室内の微細な花粉やウィルスを排除する換気システム、断熱サッシなど、プロのアドバイスを聞きながら計画しましょう。
家具や調度品
間取りや内装を決める際、家具は造り付けるのか、新調するのか、現在使用しているものを継続するのかなどによって、予算や内装計画も大きく変わります。特に、大きな調度品や家具を継続して使用する場合、事前に配置場所を決めておくと、内装や間取りに無駄がなくすっきりとしたおしゃれな空間を作ることができます。お気に入りの家具や調度品は、寸法を測って、設計士に伝えておくと良いでしょう。
特にソファは建築プランと同時進行でセレクトするのがおすすめです。部屋の広さや形が決まってから購入すると、いざ配置してみたら、家族全員で座れない、望む配置にできないといった事態になることがあります。早い段階でどういったソファをどの向きに配置したいのかも含めて、リビングプランを考えることが大切です。
注文住宅のメリットと失敗・後悔したことは?
注文住宅は、土地探しに始まり間取りや内装に至るまで1年以上の時間を要して造り上げる夢の家です。注文住宅にして良かったといえるメリットや、初めての家づくりで後悔したことなどをピックアップしました。参考にして後悔しない家づくりを目指しましょう。
メリットは 自分好みのただ一つの家を建てられる
自分の好みや理想を実現し、こだわりのおしゃれな家を建てられるのは、注文住宅の最大のメリット。間取りやデザイン、素材などの組み合わせは無限大です。
時間をかけて造り上げた自分らしい、家族らしい家だからこそ、愛着を持って、大切に暮らすことができます。
デメリット?! 決めることが多すぎる、どこまでやる?
注文住宅を建てる多くの方がぶつかる“こだわりと予算”の問題。全ての項目にこだわりすぎてしまうと、予算をオーバーしてしまうことも。
だからといって、予算重視で施工業者におまかせばかりしてしまうと、せっかくの注文住宅なのに個性が出せずがっかりしてしまうことにもなりかねません。
失敗を防いで、理想の注文住宅づくりを目指すなら、事前準備やリサーチに力を入れ、絶対こだわりたいところ、お任せしたほうが良い所を明確にして、信頼できるパートナーと二人三脚で臨みましょう。
人生の多くの時間を過ごす場所、どこよりも満足の行く場所に
注文住宅は、長年温めてきた夢のマイホームアイデアと予算とのバランスを取りながら、大切な家族の居場所を造り上げるもの。デザインや使用している建材、コンセプトなど、自分の夢をかなえられるパートナーを見つけるために、見学会やイベントに参加してみてはいかがでしょうか。
さまざまな人の夢が詰まった家を見学していくうちに、自分コンセプトに合う家や、参考になるアイデアに出会えたりします。時間の許す限り足を運び、世界にひとつの家づくりを楽しんでください。
参照:ビルド・ワークス「いえづくりカフェ・各種イベント」
(記事内容 監修:一級建築士 河嶋 一志)