快適を計算。「相対湿度(%)」と「絶対湿度(g/m3)」
更新日:コラム
皆さんは「相対湿度」と「絶対湿度」、
という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?
「快適感」を感じる上で、「温度(気温、室温)」と同等に大切なものに、
「湿度」があります。
一般的に、天気予報やご家庭にある温湿度計で表示される「湿度」は、
多くが「相対湿度」と呼ばれるもので、
単位は「%」で表示されます。
皆さんも、今日はジメッとしてるな、や乾燥しているな、
と感じる時湿度が何%か見られることが多いと思います。
ただこの「相対湿度」と呼ばれるものは少しやっかいで、
実際に空気中に含まれる水分量というわけではなく、
その時の温度(気温、室温)で大きく変化します。
詳しい内容は今回は割愛しますが、
簡単にいうと、温度(気温、室温)が上がると相対湿度(%)は下がり、
温度(気温、室温)が下がると相対湿度(%)は上がります。
これに対し、「絶対湿度(g/m3)」(※単位はg/kgの場合もあります)は、
実際に空気中に含まれる水分量となるため、
実際に体感する湿度感と近い変動となってきます。
弊社では、毎年2〜3軒のご入居者様のお住まいに温湿度計を設置させて頂き、
弊社で設計施工で建てさせていただいた最新の住宅で、
実際にどのような温湿度変化をしているかのデータを撮らせていただいているのですが、
その最新のデータが下記の画像となります。
この「相対湿度(%)」と「絶対湿度(g/m3)」について、
グラフ中の「POINT①」にも記載しているのですが、
「相対湿度(%)」については、
1日の中で気温の変動に合わせ、大きく変動しているのが分かると思います。
(日中は30%台まで下がる日もあるのに対し、夜間は80%以上となる)
この数字だけを見ますと、
日中は2月ということもあり冬らしく乾燥しているように見えて違和感がないのですが、
夜間は異常にジメッとしているように見えます。
しかし実際は1日を通して、
乾燥していると体感する1日となっており、
「絶対湿度(g/m3)」を見てみますと、
1日、ほぼ安定していることが分かります。
絶対湿度は実際の空気中の水分量を表すので、
実際は1日、空気中の湿気はあまり変わっていないことが分かります。
よく新築にお引っ越しされたお客様より、
家の湿度計が20%台まで下がっていて建て替える前よりもすごく乾燥している?
というご連絡をいただくことがあるのですが、
実際は建て替える前よりも今回の新築の室内が「暖かくなっている」から、
「(相対)湿度」が「下がって表示」されているということになります。
実際の空気中の水分量は、ビルド・ワークスで建てさせていただく新築の場合、
施工時から気密性にこだわって施工(C値=0.3㎠/㎡以下)しておりますので、
乾燥した外気の流入は非常に少なく、室内では人からやお料理等々から湿気が出ることから、
高気密状態のビルド・ワークスの家は、室外よりも若干加湿されている状態となる、、、
と思いきや、上の画像のように、実際のデータは、室内外の絶対湿度はほぼ同等となっています。
これは別のこだわり、「換気システム」がしっかりと機能していることが分かります。
これ以上は長くなりすぎるので、「換気」のお話しは次回に。
と、長々と書いてきましたがもう少しだけ。
ここまでで、「相対湿度(%)」ではなく「絶対湿度(g/㎥)」が大切ということが分かるのですが、
ではどうやってこの絶対湿度を計るのかと。
通常は、「絶対湿度計」というものが販売されているのですが、
実際にそこまでされる方は少ないかなと思っていましたら、
無料アプリで良いものを見つけました。
「快適を計算」
というアプリ、無料なのですが、
こちらのアプリに、温湿度計に表示されている、
「室温」と「(相対)湿度%」を入力すると、
「絶対湿度」を算出してくれるという優れもの。
ついでに「露点温度」まで表示してくれます。
「露点温度」とは、例えば窓枠の表面温度などを計ったときに、
その表面温度が何度以下になると「結露」するか、
という指標となり、
当然表面温度が冷たくならない方が結露しにくいので、
アルミサッシよりも樹脂サッシ、
と話しはつながっていくのでですが、
こちらもまたの機会に。
最初のグラフのお話しに戻るのですが、
快適に感じる「絶対湿度(g/㎥)」は、「8〜16g/㎥」とお客様にはお伝えしています。
グラフでは、ちょうどその範囲を水色でマーカーしているのですが、
冬場は、何もしないと全くその範囲の湿度を保つことは難しく、
8g/㎥以下の季節は加湿器の利用をお勧めしています。
また逆に16g/㎥を超えてきますと、
窓を開けると湿気を帯びた空気が室内に入り込んでしまい、
逆に室温以上に不快感が増してしまうため、
窓はなるべく開けず、除湿していただくことで快適感を保つことができます。
「相対湿度(%)」ではなく、「絶対湿度(g/㎥)」
「8〜16g/㎥」くらいを目安に、
と覚えておいてください。
BUILD WORKs
設計士 / 河嶋